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愛おしい笑顔

 

施設保管の写真を見ていました。
各月ごとに行事を行う時などに記録として撮っています。

その中でとても印象的な写真がありました。
『笑顔』の写真です。
普段、あまり笑顔を見せない方が満面の笑みでした( ・∇・)

しばらく手が止まり、その写真を眺めていました。
「本当にステキな笑顔だなぁ。」

その方、何かあると気持ちを言葉に出しやすい方で、ちょっと苦手意識を持っていた時もありました。(すみません。)
今は苦手意識もなく、よくお話もさせていただいています。私の名前も覚えてくださってます。

退院されてから少し元気なくなっちゃったかな?と思っていたからかわかりませんが、
笑顔の写真を見た時に、すごく嬉しくてしばらく見つめてしまったんですよね。

私が今の施設に勤め始めた時にはすでに通われていたのでだいぶ年月が経ちます。
情が移りました。

この仕事を選んでいなかったら関わらなかった人。
自分がその方の笑顔の写真を見て嬉しくなっているのが不思議な感覚でした。

 

【詩】『愛おしい笑顔』

コツコツと響く杖の音、聞こえると緊張が走った
心を見透かされているような気がして目を見て話せなかった
手を差し伸べても必要とされず、すれ違っていた

それでも言葉を交わし、名前も呼んでもらえた
通じた気がした瞬間だった

お茶をくむようになり、
背中を流すようになり、
声をかけられるようになった

一歩一歩距離が近くなっていった

しばらく会えなくなって戻ってきたら、
すこしやせていた
せき込むだけでも心配だった

はじめて手をかしてほしいと言われ、嬉しくもあり、
寂しくもあった

そんな様子になってしまったからなのか
笑顔の写真がとても愛おしかった
心を安心させてくれたようだった
情が移ったようだ

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